師走のジョロウグモ

ベランダの庇のすぐ横にジョロウグモが巣網を掛けたのは、秋の初め頃だった。コヤツの成長や獲物の捕獲などを見るのを楽しみに巣をそのままにしておいた。幾つかの巣網に掛かった獲物の痕跡があるが、残念ながらその捕獲の様子を見ることはなかった。師走の冷たい風が吹き抜けていく場所なんだが、巣には今もジョロウグモがいる。最低温度2度という寒空がこれまでに何度かあったが、それでもコヤツは生き延びているのだ。

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小さな庭の柚子の木の周囲ではクモの巣が3ヶほど寒風に揺れているが、これらにはかなり前から住人はいなくなっているのだ。今も生きているベランダのクモと柚子の木の近くで巣を張っていたジョロウグモと、条件にどんな違いがあったのだろうか。

師走の寒風の中のジョロウグモ、コヤツはいつまでの命なんだろう。命が終わるとポトリと巣からおちるのだろうか、それとも巣に足を掛けたまま巣が破れるまでそこにくっいているのだろうか。

ご近所のIさんが冬用のタイヤに履き替える作業をしていた。老爺はガソリンスタンドでタイヤ交換をやってもらうためにタイヤを車に積み込むのさえ出来なくなっているのに、ほぼ同い年のIさんは軽々と作業をしているのだ。驚きをもって眺めていた。

 

 夕さりて 寒風聴きおり 残日録       風来坊