トビイロシワアリの獲物(4)

早朝ツタの落ち葉を掃き集めていてキアシナガバチの死骸を見付ける。
既にトビイロシワアリが来ていた。

肉食性でもあるこのアリは日の出とともに活動を始めたのだろうか、それとも夜っぴてアシナガバチの体を囓っていたのだろうか、ファインダーを覗きながらふとそんなことを思った。
このアリに喰われていた5日ほど前のトビイロトラガのように、影も形も無くなるまで齧り尽くされるのだろうか。
ハチの死骸はそのままにしておいた。


トビイロシワアリに囓られているキアシナガバチのことが気になり、夕方見に行く。
ハチの姿は見当たらず、ハチの死骸のあった場所には落ち葉や枯れ草の細片を集めて作った小さな山が出来ていた、キアシナガバチを葬る為にシワアリが拵えた塚だ。

それにしても体長3mm弱のこのアリがハチが隠れるだけの塚を半日ほどで作っているのだ。
どれくらいの数のアリが動員されたのだろうか。

ポケットに捩じ込んでいるナイフを取り出し刃先で塚を掘り出してみる、キアシナガバチが隠されていた。

獲物が大きいから半日くらいでは処分しきれないのだ、塚の中で時間をかけて齧りとるのだろう。
ハチの死骸に枯れ草の細片を掛け元の状態に返しておいた。

トビイロシワアリの獲物を見る、今日も呆けずに済んだ。