夕方ほんの僅かな時間だが草叢に潜り込んでみた。
午前中だったらうるさいほど鳴いているキリギリスの鳴き声も聞こえず、虫の姿もなかった。
ただショウリョウバッタだけは幼体も含めてかなりの数を見かける。
このショウリョウバッタを見ると決まって思い出すのが少年時代の雑魚釣りのこと。
餌のミミズが失くなるとキチキチと呼んでいたこのバッタを捕まえては、その胴体を千切って餌にしたものだ、ハヤやウグイはバッタの餌でもよく釣れた。
少年時代はいつも空きっ腹を抱えていたから、釣り上げた雑魚や近くの畑から頂戴してきたサツマイモを河原で焼いて食ったものだ。
そんな悪童仲間からの音信も絶えて幾夏も過ぎた。
雑魚釣りをした川は上流にダムが出来たおかげで、少年時代の清流の光景は全く失われてしまっている。
ショウリョウバッタが飛び出した草叢の先で黄色い帯紋を持つ黒いハチを見付ける。
狩りバチの仲間ではと思っていたが図鑑で調べてみるに、ヤマトツヤハナバチが一番近い。