読書のかたち

今年の初め頃Kindleを手に入れてから、読書は電子書籍を利用することが多くなつた。
Kinndle1台あればどんな分厚い本もこれに収まり、持ち歩くのにも便利だったし、判らない語句はわざわざ辞書を引かなくてもその語句をタップすることで検索出来るということ等から重宝してきたが、最近になって電子機器で本を読むということに違和感を覚えるようになっている。
ひどく疲れるのだ、殊に眼の疲れがいつまでもとれないのだ。

従来の本には紙の手触りの感触があり、なんと無く感じられた紙の温かみがあり、ゆっくりページをめくる楽しみがあった。そんなものも本読みの楽しみの一つだった。
それに、書棚の奥から引っ張りだした時などに感じる古い本が持つ固有の匂い、これは懐古にも繋がり、さまざまな記憶を呼び出してくれた。
電子書籍の無機質さ、其処には紙の本が持つ人臭さは微塵もない、老人はこれに耐えられなくなっているようだ。

ブラックユーモアに満ちた十二編ということで、高村薫さんの「四人組がいた」を手に入れた。

内容の面白さを楽しみながらそれと同時に電子書籍にはない感触を味わっている。

飼育箱のルリタテハのサナギの一つが今朝早く羽化していた。

書斎に閉じ込めておいて越冬の姿を見ることも考えていたが、吸蜜も出来ず餓死させるのも可哀想だと思い窓を開け放つ。