風に吹かれて

朝の散歩に出た折、路傍の犬走りにキアゲハがいるのを見つける。
傷ついたキアゲハのようだ、翅をパタパタさせている。


小走りに近寄ろうとすると、突然スィッスィッと動くのだ、おやっと思った。
動き方が可怪しいのだ。
遠目に見た時は傷ついたキアゲハが翅をパタパタさせていると思っていたが、キアゲハの骸の翅が風に吹かれて動いていたのだ。
スィッと動いたのも風の所為だったのだ。
突然の風で少し動くと同時に開いていた翅が胴体からポロリと離れ落ちた。
そしてその翅も強い風に煽られ遠くの方まで吹き飛ばされていってしまった。

「花に嵐のたとえもあるぞ、サヨナラだけが人生さ」こんな文句があったことを思い出しながら吹き飛ばされていった翅を見ていた。


大津市写真展覧会(第38回)を見に行く。
それぞれが自信作を出品しているのだろう、合計220点の作品群だ。
写真仲間のAさんも出品されていた。

最近、感受性が極度に摩耗しているのだろう、作品を見ていても感動しなくなっているのだ。
作品を見ていて「おっ!いいな」と思うものは、一覧した後引き返してもう一度見るのが習いだったが今回はそれをしなかったのだ。
老いが感受性などいろんなものを剥ぎとっていくようで疼きのような寂しさを感じていた。

カミサンは、五月雨・園田みちゑ、船溜り・渡辺忠彦、老竹の春・中井昭夫、朝焼けに乙女立つ・矢野博さんらの作品をお気に入りに指名していた。
なんであれが準特選なの、と思う作品も一点あったようだ。

帰り道、ケーキ屋さんのPaletteによってクッキーを買う。
いつだったか写真仲間のTさんから頂戴したクッキーがとても美味かったのを思い出していたのだ。
沢山買ったものだからカミサンにじろりと睨まれる。
「クッキーはカロリーが非常に高いのですからね」と。

ボケ防止のためにも明日は早起きして彼岸花に来る虫を撮りに行こう。