空想を楽しむ

「八千頌般若経・1」梶山雄一訳(中公文庫)をやっと読み終えた。
昨年の6月の終わり頃に手に取ったと思うから1年以上かかっていることになる。
いつの頃からか、一冊の本を集中して一気に読み通すことが出来なくなり、複数の本を併読するという妙な読み方になっている。
記憶力がしっかりしていた頃はこんな読書法でも支障は無かったが、呆け始めた現在ではこんな読み方は非効率この上もないのに修正出来ずに続いているのだ。
八千頌般若経、これほどふうふう言いながら読んだものはない。

苦行みたいな八千頌般若経から離れる思いで、先日佐川美術館で購入した安野光雅さんの「旅の絵本」を手にする。


絵本の1ページを隅から隅まで見る、何度も何度も丹念に眺める。

描かれている風景から、人物から、田舎道や街の様子から、いろんな物語が展開してくるのだ。
長い間忘れていた空想する楽しみが蘇ってきていた。
「空想を楽しむ」老兵にもそんな楽しみが残っているのだ。嬉しくなっていた。