虫のいない花苑

びわ湖大津館の花苑・イングリッシュガーデンに入ってみた。
5月の半ば頃になり100種類近いバラが咲き始めると趣きのある庭になるのだが、やっと小さな蕾をつけ始めたばかりだから、華麗なバラ園を知っている者には少しさびしい庭に感じられた。
咲き誇ったバラ園が持つ華麗さはないが、それでもシャクナゲツツジ、フジ、チューリップ、牡丹など10数種の草花が咲いていてそれなりの風情があった。

いつもの癖で虫探しをする。
花一輪づつを覗きこむようにして丹念に見て廻ったが虫達が見当たらないのだ。
バタフライ・ガーデンとしての樹木や草花の植え込みがされていないから、虫がやってくるのも少ないとは思うが、それにしても全くという程いないのだ。
やっと見付けたのは花蜂の仲間とフタツボシテントウ、柳の木にいた小さな甲虫、モンシロチョウそれぞれが一匹ずつだけだった。
この庭の広さと花の数からみてなんと虫の少ないことよ。

シャクナゲツツジには密蜂やクマバチやアゲハの仲間がよく来るのにそれらも見当たらないのだ。
この花苑には病害虫防除の為の農薬が既に散布されているのだろうか。
虫たちのいない花苑に何とも言えず寒々としたものを感じていた。

農薬の事を想像したことからレイチェル・カーソンアメリカ)の「沈黙の春」を思い出していた。
この本を読んだのは30数年も前のことだから詳細は覚えていないが、DDTなどの殺虫剤(農薬)の散布が生態系を破壊し、人間の生活環境にもいろんな影響があることが報告されていたように思う。

虫の見当たらない花苑は矢張り異常なのかもしれない。