木守り

買い物帰りに総選挙の投票に行く。
自民党圧勝という前評判だったのと当該区に投票したい候補者がいなかったこともあって、棄権も考えていたがカミサンに背中を押されての投票だった。
前回総選挙の揺り戻しが起きているようだがこの結果は何を産みだすのだろうか。

遠回りした散歩道で木守り柿ならぬ木守りザクロを見付けた。

収穫の終わった柿の木に実が一個残されているのはよく見かける。
鳥たちの冬の食べ物として残してあるとか、来年も沢山の実が生りますようにとの祈りを込めた呪文だとか言われる。
そんな柿ならぬザクロが一個あかあかと陽に輝いているのだ。

冷たい風に揺れているザクロを見ながら、このザクロを割ってみたら真っ赤なルビーのような実が詰まっているのだろうか、味は微かに酸味を隠した何とも言えぬ甘さだろうか、いろんな事を想像していた。

このザクロは取り忘れたというよりも願いを託して木に残していると思いたい。
こんな風習はこれから先も受け継がれてゆくのだろうか、それともこの木守りを残した人が亡くなれば唯の取り忘れになってしまうのだろうか。
「木守り」や「木守柿」という冬の季語を使う人も近い将来いなくなるのだろうか。

選挙の結果の新しい政府がTPPにどんな対応をするのかよく解らないが、鳥たちの為に木守りを残しておくそんな風情を持った人が一人もいなくなるような対応だけはして貰いたくないものだ。