雑踏の中で(4)

一週間ぶりの京都だ、講座の始まる前、雑踏の中を歩くことにして早めに家を出る。
雑踏の中を歩いていて必ず覗き込むショーウインドウが幾つかあるがその中の一つが壺中堂という文具雑貨のお店だ。
今日も河原町通りを三条から下がって目的のぎゃらりー古都へ向かう途中、壺中堂を見つけるとやはり立ち止っていた。
ショーウインドウの中にしゃれたデザインのドレスウオッチが並んでいた。
ペーパーナイフにしてもいいような細身のナイフも並んでいた。
覗き込む度に商品選択はどんな人がするのだろうかとそのセンスの良さに感心している。
それに壺中堂という店名に込められた店主の意図をいつも推し量っていた。

壺中堂 この店名は中国の故事(後漢書)「壺中天」に由来しているのだろうか、酒房などでこの言葉を店名にしているのを時に見ることもあるが、文房具店に付けられているのだ。
どんな思いが込められているのだろうか。
いろんなことを想像しながら雑踏の中を歩いていた。