夜のルリタテハ

昨夜は遅くまで読書をしていた。
長い間手にすることもなかったSF小説(「THE FUTURE IS JAPANESE」・伊藤計劃円城塔菊地秀行など日米作家13名の短篇集)を新聞の書評欄に刺激されて入手していたのだ。
随分久しぶりのSFだから面白いのだ。老眼をしょぼつかせながら夢中で読んでいた。
少し肌寒くなり本から眼を上げると午前3時過ぎだ、慌てて寝ることにする。開け放っておいた窓を閉めようとしてカーテンに手を掛けた時黒い蝶が舞い上がる。
思いがけない出現に一瞬ドキッとした。
蝶はルリタテハだった。

ドキッとしただけでなく、ふわりふわりと部屋の中を飛ぶ、その動きに何とも言えぬ不気味さを感じていた。
蝶と魂を結びつけた話は西欧にも日本にもあるが、書斎の中を舞うルリタテハはまさにゾクッとさせるものを振りまいているようだった。
ミイラのような蛹から華麗な蝶が生まれてくる、その変身の様子は死と再生を感じさせるのだ。
9月26日に羽化したルリタテハは窓の外に飛び立っていったから、ここにいるルリタテハは幼虫の時脱走し行方をくらましていたヤツの羽化に違いない。

台風17号の影響で終日の雨、書斎に閉じこもっている。
先の二科会写真展で観た北中實さんの作品に刺激されて、RAW現像やレタッチをはじめてみるが思うようにならない。
年に一度の写真仲間との写真展用に作品作りするくらいだから、PhotoShopの使い方等忘れてしまっている。
補正の数値を変えて現像したものをレイヤー2枚にして重ね、レイヤーマスクで2枚のうちの目的の部分だけを使う、そんな合成のオペレーションにもたついているのだ。

満足できる作品作りのためにも一からやり直しだ。三日坊主にならないように。