ツノトンボ

四季折々に虫撮りに出掛けるお気に入りのフィールドを幾つも持っている。
30年近く通っている場所もあるが、昔の姿をそのままに残している所はもう僅かしかない。
棚田は放棄田が増えて荒廃し、里山も人の手が入らないから荒れた雑木林に変わっている。

比良連山釈迦岳の山麓にもお気に入りのフィールドを2ヶ所持っていたが、国道161号線バイパス延伸工事の為に、今では昔の面影は微塵もない。
道路工事は雑木林を削り取り棚田を潰して延びているのだ。

畑の棚田(高島市)へ行った帰り道、ふと気になってそこへ立ち寄ってみた。
工事の始まる前まではそこには綺麗な稲田が広がり、彼岸花の咲く田舎道やサワガニの住む小川もあったが、今では雑草の田圃に変わっている。
それに棚田を寸断した道路が障壁のように立ち上がっていて見晴らしはなくなり、窪地に変り果てているのだ。
それでも草刈りをしている人がいたからやがては田圃に戻ってくれるのだろうか。

小川も荒れてはいたがサワガニはまだいるのかその痕跡を見た。

この場所ではミヤマサナエ、コオニヤンマ、アキアカネの連結飛翔や産卵活動などを見たことがあるが、もうどこにもその姿は見当らない。
見かけたのはツノトンボと雑木林にいたルリタテハだけだ。
いろんなトンボが飛ぶ環境はもう望めないように思う。寂しいかぎりだ。

雑木林の中ではシカの頭蓋骨も見た。