アオバハゴロモ

花園大学で面白そうな公開講座のある日だ、出掛けることにする。
講座は ”こころを伝える・ほとけの形・音・行 ”ということをテーマに企画された3日間にわたる講座、今日はその最終日の講座だ。

「真実のために嘘をつけ!ー花を拈じて衆に示す」花園大学教授・安永祖堂
「行ー千日回峰について」北嶺大行満大阿闍梨・上原行照
一心に聴いていたが公案を突き付けられているみたいで理解出来ないでいた。

「拈華微笑」は「びしょう」それとも「ほほえみ」 Laugh or Smail ?
什麼生(そもさん)、什麼生と言われてもうつ向いているしかないそんな状態だった。

上原大阿闍梨千日回峰行についても、大変な修行だなと思いながら大阿闍梨のお顔をみているだけだった。修行という言葉では伝えられない世界を少しでも理解するには阿闍梨のお顔を
見詰めていることが全てだと思っていたのだ。

帰りの嵯峨野線の電車の中でも記憶に残っている幾つかの言葉を反芻しながら、什麼生、什麼生とやっていた。
湖西線の中でも什麼生とつぶやいていて、ふと窓際を見た時、意外なものを眼にした。
アオバハゴロモが目の前にいるのだ。
イチジクの若木などに集団でいるのはよく見かけるがここは電車の中だ、何処からきたのか。
しばらくアオバハゴロモを眺めていると、什麼生と自問することはもうなくなっていた。

下車駅が近づいているのに気付き棚の上のザックから急いでコンデジを取り出す。

小さな虫アオバハゴロモの方が私の性にあっているのだ。