トマト

AKIYAMAさんから朝採りの完熟のトマトを頂いた。
冷やしておいて丸ごとかぶりつく。
流通過程で赤くなったトマトと違って、濃厚な味とプリッとした歯ごたえがあり、それにさわやかな酸味が久しぶりに味わえた。

美味いと感じながらも一つだけ私が持つトマトのイメージと違うところがある。
トマトが持っているはずの香りが薄いのだ。
スーパーなどで手に入れるトマトは全く香りがしないのが普通だが。

子供の頃、夏のこの時季になるとキュウリやトマトの出荷のため、日の出前から起こされて摘み取りを手伝わされることがあった。
畑の一角は自家消費用に造られておりそこには真っ赤に熟したトマトが生っている。
早朝から叩き起こされての農作業の手伝いは嫌でたまらなかったが、楽しみの一つが美味いトマトを喰うことだった。
夜気に冷やされ朝露に濡れたトマトは冷たくて美味かった。今でも鮮明に覚えている。
そしてその記憶の中にはトマトの樹が放つ固有のやや青っぽい匂いと完熟したトマトの匂いがある。
このトマト固有の匂いを嗅いだことが久しくない。
AKIYAMAさんの菜園のトマトの樹でも、記憶にあるあの匂いがあまりしないのだ。

ナスやキュウリから棘が失くなったように、トマトも品種改良されて匂いが薄れてしまったのだろうか。

子供の頃囓りついていたトマトが喰いたくなっている。