迷い道

少年の頃から見知らぬ土地を尋ね歩くのが好きだった。
今日も写真仲間のTさんと別れた後、比叡山山麓の千野の在所をドライブする。
昔ながらの佇まいを残す集落の風景を眺めていると、気持ちの和むものがある。
その集落の中を通り抜けるつもりで集落に入った。
集落の道は車が一台通れるほどの細道、それに曲がりくねっているのだが、風景を楽しみながらのゆっくり走行だから苦にならなかった。
幾筋か曲がってからあっとなった。曲がり角の向こうは道が急に狭くなっている。
それからが大変だった、Uターンする場所もない、バックで元の道に帰るしかないのだ。

こんな経験がこれまでに何度もある。
その度に古い在所の細道には車を乗り入れまいと肝に銘じているのに、少年の頃からの性癖だろうか好奇心に誘われてつい見知らぬ土地に入り込んでしまう。

何年か前、三方五湖の梅林に出掛けた帰り道も、久々子湖のある集落に入り込み今日以上に大変な目にあったことがある。漁村の風景を楽しんでいてつい裏路地に入ってしまったのだ。

北山田漁港(草津市)近くの集落に迷い込んだ時も大変だった。
コハクチョウの帰巣の様子を撮った帰り道、その時もふらふらと言う感じで集落に入った。
薄暗くなり始めていたこともあり、集落に入り込んで何度か曲がり道をしていて方向を見失ってしまったのだ。
そして遂に狭い袋小路に迷い込んでしまった。
バックして出ようと苦心している時この様子を見かねたのだろう、「内の庭先にお尻からいれて切り返して出なさいよ」と声をかけてくださる方がいた。
その庭先にバックで入るのも狭い路地からだから容易ではない、誘導までして下さった。
道に迷い、通り抜けられると思いこの道に入り込んでしまったこと、方向感覚が失くなっており湖岸道路への道が分からないこと等をお礼をしながら告げた。

湖岸道路への道順は言葉で説明するのも分かりにくいから私が案内してあげますよ、その人(かなり年配のご婦人)は軽トラを持ちだして先導してくれた。

こんな経験をしながらも見知らぬ土地へ迷う込んでしまう、これからもこんな迷い道がありそうだ。