狂い咲き

読書の眼休めにと思い湖岸を歩く。
風が強くなり、陽が厚い雲間に隠れてしまうと、湖岸の道は相当に寒かった。
そんな寒々とした道端で、皇帝ダリアとタニウツギの仲間ハコネウツギを見る。

皇帝ダリアはこの時季に咲く花だから寒風に揺れていても驚くことはないが、吹曝しの湖岸で初夏が花期であるはずのハコネウツギの花を見た時はおやっと思った。

狂い咲きという現象だろうが、この時季に花を咲かせたその要因は一体何だったのだろうか。

もう随分以前だが、朽木(高島市)へ出掛けた折、時雨を避けて雨宿りさせてもらった農家の庭先でタカサゴユリが咲いているのを見たことがある。
季節外れの白いユリ。
時雨に濡れるその白い花の白さを妙に気味悪く感じたのを覚えている。

ピーター・マシーセンの「雪豹」を読んでいるが遅々として捗らない。
ヒマラヤの奥地へ雪豹を求めての過酷な旅、魂の旅、禅の旅でもある故に中身が重いのだ。

今日の鳥は浮桟橋にいたカルガモ

湖面に僅かばかりの水鳥がいただけ、寂しい風景だった。