茅葺屋根のドロバチの巣

安土城考古博物館で開催されている講座”「近江の縄文時代」・漕ぐ、獲る、運ぶー革新を起こした縄文舟の考古学”講師 瀬口真司(滋賀県文化財保護協会)に行って来た。

縄文人の「工夫」と丸木舟の「役割」を探る”をテーマにして、瀬口真司さんが話されるということで期待は大だったが、おおっ!そうなの、そんな見方もあるの、と思わせるような新しい知見は残念ながらなかった。

昨年の5月に瀬口さんは、相谷熊原遺跡(縄文時代早期)から出土した日本最古級とも言われる小さな土偶を取り上げ、「宿り・宿られる土偶ー「空ろ」に神を見る日本人の源流」というタイトルで非常に面白い話をしてくれた。

小さな土偶の頸元に開けられた穴を「空ろ」と見做し、そこに神が住むという発想はとても面白かったし、又、他のいろんな空ろと神の関係の事例を挙げながら土偶の空ろを説明されることに不思議な説得力があった。
縄文人のカミに関する心象風景を瀬口さんの話を聞きながら想像することもできたのだ。
そんなことから丸木舟についても瀬口さんならではの切り口を楽しみにしていたのだが。

講座の終わった後博物館の構内を歩く。
構内の一角に移設されている旧い民家の茅葺の屋根におっ!というものを見つけた。
茅の切り口に沢山のドロバチの巣があるのだ。

ドロバチが羽化し飛び立っていった痕跡を残すものや、土の色具合から見て明らかに昨年の秋に造られたと思われる巣が幾つもあった。

営巣・産卵の時期にはこの茅葺屋根には何匹もドロバチがやって来ることだろう。
時期になればやって来よう。