老樹無惨

風車村の近くの湖畔にあるあの有名な楊樹を見に早起きして出掛けた。
雪の湖岸で雪を纏った姿を撮りたい、そんな思いを持ち続けているが果たせずにいるのだ。
本当は先日の大雪の朝に出掛けるつもりだったのに、一日延ばしを続け今朝になってしまった。
2・3日前からの好天続きで雪を纏った姿を期待していた訳ではなかったが、その樹を眼にした時には、思いもかけぬ姿に変わり果てている,その様子に驚かされた。

楊樹は無惨にも根元のあたりから折れ、雪の湖岸に横たわっていた。
折れた木の木心部から見るにかなりの老樹のようだ、先日降ったあの大雪の重みに耐えかねて折れたのだろう。
老樹無慙。
その横たわる姿を見るに、湖岸に両腕をついて起き上がろうとしているようにも見え、いっそう寂しさを感じていた。

この老樹をこれまで何人の人がカメラに収めたことだろうか。
写真展などでこの樹を見事に切り撮ったものを幾つも見てきたが、もうその姿は見られない。

さようならだけが人生さ、そんな感傷めいた気分で湖岸を後にした。