老いのかたち(2)

調べ物をしていて眠りに入ったのは午前2時過ぎだったのに、6時に目が覚める。
書斎の窓を開けると金木犀の仄かな香りをのせた冷涼な風が流れこんでくる。
思わず深呼吸だ。
散歩道でも金木犀を植栽しているお宅が何軒もあり、この時期爽やかな気配に包まれる。
この香りや時雨に逢うと虫撮りの季節が終りに近づいていることを感じ、寂しくなる。

季節が来ると季節に合わせた花が咲き、冷たい雨が降る、時が流れているのだ。
時の流れは人を老いさせますます足早に過ぎ去っていくようだ。
ヨガ教室にご一緒していたMさんの姿を見かけなくなり、訪問介護の車が止まるようになった。
2日ほど前長い間ゴルフを共にしたYさんが庭に佇んでいるの見かけたのも半年ぶりだった。
ゴルフコースでも練習場でも、もう歳だからねと言いながらも颯爽としていたその姿はない。
お早う御座いますと声をかけ、お変わり御座いませんかと訊ねても、弱々しい笑顔で頭をさげるだけだった。
これも時の移ろいが創りだす老いのかたちだろう。

時の移ろいと言えば、クロメンガタスズメ蛾の幼虫が今朝サナギになっていた。

9月22日に庭先で這っているのを見つけ、書斎の飼育箱に来てもらったのだ。


同じ飼育箱の中には蛹化に失敗したルリタテハのサナギが一つぶら下がっている。