もう一つの人形

台風2号がまだ遠い所為か午前中は穏やかな曇空。
虫撮りに出掛けることを諦めて、昨夜書棚などからいろんなモノを引っ張り出したので、その整理にかかる。

木製、石、ガラス、鋳物、トウモロコシの葉っぱ、いろんな素材で出来た置物がある。
それぞれが一つ一つの思い出を持っている。
置物や人形のみならず、書棚に並べられている文房具類、(モンブランやウオーターマンの万年筆、シェーファーダンヒルのボールペン、カランダッシュのペンシル)全てが過去の情景に繋がっており、それぞれが来歴を持っている。
これらは全て過去の世界への入り口だが、一つだけ未来の世界への入り口になるものがある。

これは何もまして私にとつて大切な物。
ティッシュペーパーで作られた人形だ。
孫娘が小学5年生になったばかりの頃創ってくれた物だ。

孫娘は将来医者になりたいという夢を持っている。
医者になって国境なき医師団みたいな仕事をやりたいらしい。
孫娘が夢を叶えるのを見届けるのは、12・3年先になるだろう。

この白い紙人形を書棚の中に見るたびに、元気でいなければと自分に言い聞かせている。
過去ではなく未来につながる入り口を持つ幸せを感じている。
もう未来の時間は幾らも残ってはいないけれど、それだけに一層充実した時間を持ちたい。