写真展を見に行く

雨の中カミサンと、大津市歴史博物館で開催中の「第42回大津市写真展覧会」を見に行く。
時に土砂降りの雨が降る生憎の天気だったが思いの外大勢の観覧者がいた。
特別出陳9作品を含めて207点の作品が並んでいた。

いつものように頂いた出陳目録を手に、お気に入りに丸を付けることにして会場を廻る。

会場を廻りながら、お気に入りの作品の前で立ち止まるのが常だったが、今回は立ち止まることが殆どなかった。
これは自分で思っている以上に老化が一層進み、感受性も相当に劣化している証なのだろう。

207作品中、私のお気に入りは、沖島漁港の夕景を切り撮ったと思われる井上三央さんの「今日もお疲れさま」、「矢場」谷口忠臣、モノクロの組写真で表現した漁村の一角「荒廃」前川修、大津市社会福祉協議会会長賞を受賞していた奥村健司作品「哀愁」など6点。
カミサンは、大津市議会議長賞受賞の西村幹夫さんの「飛沫の造形」「湖国たそがれ時」山本民恵「鎮魂」中野一雄、唯一共通してお気に入りに挙げていたのが奥村健司さんの「哀愁」。

「哀愁」は柱の陰から少しだけ横顔を覗かせる猿マンドリルポートレート、審査評にもあったが、やや逆光気味に望遠レンズで捉えたカメラワークなどは素晴らしいと思った。

この素晴らしい作品についてカミサンはぽつりと一言、この作品が私が撮ったものならタイトルは「望郷」にしたいと。
マンドリルの哀愁に満ちた眼、その視線のはるか先にあるのは、ここへ連れてこられる前の住み慣れたジャングル、遠い遠い故郷なんだろう。

写真にどんなタイトルを付けるか、それと相俟って作品が放つ情念を観る側がどう受け止めるか、いろいろ考えさせられる写真展だった。