老いのかたち(51)

今日は運転免許更新のための「高齢者講習」の日、受付時間よりもかなり早めに最寄りの自動車教習所へ出掛けた。受付をはじめてあっ!という状態になった。持参しなければならないものうち最も肝心な運転免許証が見当たらないのだ。カバンをひっくり返して中身を全て出す、持参の紙袋の中身を出す、免許証を入れている財布の中身を何度も確認する、何処にもないのだ。受付の人の前で大慌て、これほど焦ったことは初めてだ。公的に本人を確認する手段として健康保険証の提示を求められるがそれを常時携帯していることもない。車が自分名義のものであるのを幸いに車検証でなんとか代用して受付を終えた。

「高齢者講習終了証明書」はまずは無事に発行してもらえたものの、運転免許証を何処にやったのかそのことが気になり、帰途そのことを色々考え続けていた。家に帰っては書斎やいつも保険証や重要書類を保管している居間の本箱の引き出し、デスクの上の書類箱、パソコン周り、炬燵の周辺などと思いつく所を探し回ったが見つからずだ。免許証が無くては身動きが取れなくなる、明日は娘に運転してもらって運転免許証再発行のために警察署へ行かねば。そんなことを考えていた時運転免許証の在り処を突然思い出す、コピー機の中だと。ある事から委任状を発行することになり、委任状が本人発行のものであることを証明するための書類として、運転免許証のコピーが必要、そのためコピーしていたのだ。

これまでだったら事前に必要なものを確認し取り揃えておくのが習慣だったのに、今回はこの一連の作業を忘れているのだ。カミサンがいたらこんな不様なことを睨まれていただろう。それに運転免許証返納ですねと言われたに違いない。

運転免許証の更新が出来てもこれまで以上に慎重な運転を心掛けねばなるまい。老い、日々老いは進んでいくことを肝に銘じねば。老いのかたちを今日はしみじみ感じさせられている。

朝昼兼用の遅い朝食を摂っていて、時雨の通り過ぎた庭先にヒヨドリが来ているのを見つける。

ヒヨドリの狙いはヤツデの葉の下に隠れるようにして実をつけているマンリョウだ。この白い実を啄みにヒヨドリが来ているのをこの冬2度ほど見掛けている。

レースのカーテン越しにヒヨドリが来ているのを見つけると、そーっとカーテンを開けカメラを向けるのだが、人の気配を消し易いガラス戸越しとは言えヒヨドリまでは2m弱、シャッターチャンスはあまり無い。

今日は大慌てする日だった。