母衣打ち

フィールドに足を踏み入れるなり眼の前の草叢からキジが現れ、ケーンケーンと甲高い啼き声を上げて歓迎してくれた。
そして母衣打ちの姿も見せてくれた。

母衣打ちが終わると何かにせかされるようにそそくさと、出てきた草叢に身を隠す。
なにごとやあらん、そんな感じだった。

草叢に隠れた後少し離れた場所から頭を出し、暫らくこちらを見ていた。

頭を引っ込めてからは二度と縄張りの草叢の周辺に姿を現すことはなかった。
この広い草叢の何処かでメスが抱卵しているのだろうか、いろんなことを想像していた。

今日はフィールドで見掛けたのはこのオス一羽のみ、耕作放棄地のアシ原ではオオヨシキリのさえずりがあちこちから聞こえてくるが姿を見つけ出すことは出来ずだった。
母衣打ちの1ショットが撮れたことを好として帰途につく。

不思議と今日は鳥たちを見ぬ日だった。