花のいのちは短くて

今日は午後から写真展の当番、車庫から車を出す前に気になっているトベラの花を見に行く。
4・5日見ぬ間に花は終末期を迎えていた。
白い花びらは黄色っぽく薄汚れ、芳しかった香りも失せてしまっていた。
花の盛りに、アオスジアゲハやナガサキアゲハ、クマバチなどのハチの仲間が来ていることを期待して何度も訪ねて行ったが、見かけたのはツマグロヒョウモンだけだった。

もうこのトベラの木にチョウたちがやって来ることはないだろう。
花のいのちは短くて、あっ!という間に終わってしまったのだ。

写真仲間のTさんが出陳している作品の中に、3枚組の「終焉」と名付けた組み写真がある。
マクロレンズで病葉などを撮ったものだ。
いのちが終わり土に帰る前の寂とした姿、見る人にいろんなことを想像させるだろう。
Tさんの写真を見ていて、ある時期廃屋を撮りにあちこち出掛けた時のことを思い出していた。
廃屋や廃村、過疎化が深刻になっている集落、何故これらを訪ね歩いたのか、その動機を今では確とは思い出せない。


写真仲間のNさん、Hさん等と奥永源寺方面へ行ったこともあった、10年近くも前になる。


 人みな土より出でて  土へ還る (テルラ・エスト  テルラム・イピス)

何かの本で読んで以来、何かの拍子に思い出す言葉だ。

終焉、花のいのちは短くて、土に還る、土に還る、花のいのちは短くて、終焉、行きつ戻りつ繰り返し口ずさんでいた。