月時雨

午後8時過ぎ玄関先で月時雨に逢う。

空を覆っていた雲が風に流され、時雨が通り過ぎると十二夜の月が貌を出した。
雲間から出た月は意外なほど明るく冷たく澄み渡っている。
雨に閉じ込められた日は読書が専らだが今日は呆け暮らしだった。
呆け暮らしの全身に頭上から降り注ぐ月光と雨上がりの冷気が気持ち良かった。

好きな山頭火の句を想い出していた。
  うしろすがたのしぐれていくか
  寒い風がいそぐ