十三夜の月

読み忘れていた新聞に眼を通していて、気象欄で月齢13.2という記事を見付けた。
今夜は十三夜の月が出る夜なのだ。
十三夜の月という語句には幾つかの懐かしい記憶があり、月を見たかったが今日は生憎の曇り空、十三夜の月を見ることが出来ない。

古いファイルに十三夜の月を撮ったものがあった。

十三夜の月ということから思い出すものの一つに、旧い知人Kのことがある。
作家志望だったKは大手印刷会社に勤めながら仲間数人と同人誌を発行していた。
同人誌など3号も続けば上出来だと言われていたが、結構長く続いていた。

30数年も前のことだからその内容を確とは思い出せないが、Kが同人誌に発表した作品のうち「飛行機雲」と「十三夜の月」という2点が思い出される。

「飛行機雲」は兄嫁に対して淡い恋心を抱く少年の心情を、「十三夜の月」は若い女に寄せる中年男の不倫の心の内を描いたものだった。

十三夜の月ということからKを思い出し、Kを紹介してくれたMさんのこと思い出す。
両人とも故人になってしまった。

初冬の十三夜の月を見る頃は年賀状のことを考えねばならない頃だ、年々準備する年賀状の枚数は減っている、寂しい限りだ。