アシナガアリの獲物(2)

夕方の散歩の折、昨日に続いてアシナガアリが獲物を引きずっているのを見付けた。
巨大な獲物・キアシナガバチだ。


ハチはまだピクピクしている。
お尻からは鋭い針もとびだしているのだ。

どんな状況でアリはこのハチを見つけ何処へ運ぼうとしているのだろうか、小さな体で大きな獲物をかなり早く引きずり移動している。
(PCに取り込んだ後写真をチエックしていて、自分の頓馬さを嗤うことになる。ISO感度を上げてシャッタースピードを稼ぐ、絞り込んで被写界深度を稼ぐなどの対応をしていないのだ。
眼デジにマクロレンズを装着していればファインダーの中のアリの動きからこんな対応もしていたかもしれないが、コンデジXZ-1でカメラまかせだったのだ、アリの動きがピンボケを増幅しているのだ)

一匹のアリは体重比何倍くらいまでの獲物を引きずって運ぶことが出来るのだろうか、凄い力持ちのように思える。

人も車も通らない場所だったらいつまでもアリの運搬の様子を見ていたかったが、ここは車の多い道だ、車に轢き潰されないようにと、アリがハチから落ちない事を祈りながらそっと持ち上げ道路端に移動させた。

私が虫撮りを始めた出発点は、まさにこのアリがハチを引きずっている光景を見てからだった。
それはもう10数年も前のことになるが、夏の終わり頃、還来神社(大津市 途中)の境内で偶然にも数匹のアリがクマバチを引きずっているのを見たのを契機にしてだ。
普段だったらこの光景を見てもそれほど気にも留めることもなかっただろうが、半月ほど前のTV番組で昆虫写真家栗林慧さんの「虫の目レンズ」で撮った映像を見ていた。その印象が強烈だった所為だ。
取り敢えず手持ちの機材で撮る。
この時の撮影メモを見るに、カメラはEOS1、レンズはEF75-300mm望遠、マクロ機能(1.5M)にして撮影、フイルムの残枚数は殆ど無かったとある。
マクロレンズ(100mm)も所有はしていたが虫撮りなど意識していなかったから持ち出すこともあまりなかった。
1.5mという距離からの望遠マクロで四苦八苦しながら撮ったことを覚えている。
結果は見るに耐えぬものだった。

今もその時の無惨な程のピン甘の写真を残してあるのは虫撮りを始めた記念にだ。

フイルムが切れた後は遅い昼食を取りながらクマバチを集団で引きずり巣に運び込む様子を眺めていた。人気のない境内で随分長い間座り込んでいた、懐かしい思い出だ。

散歩からの帰りに見た時には、アリは獲物を放棄したのかハチだけが残っていた。
ハチの周囲にもアリの姿は見かけずだった。