公開講座に潜り込む

ビックカメラ京都店で用事を済ませた後、ふらっとキャンパスプラザ京都に寄ってみた。
一階フロアーのメッセージボードに面白そうな講座が午後一時から開講される案内があった。
「遺伝学から見た生物多様性」(日本遺伝学会 公開市民講座)だ。
この講座名だけだったらそのまま通り過ぎただろうが、講師の一人に昆虫写真家の新開孝さんの名前を見つけ講座に潜り込むことにする。

最初は新開孝さんの話を聞いたらすぐ帰るつもりだったが、受付で貰ったレジメを見ると他の講師三名の講演も面白そうなのだ。
全部聞けば終りが午後五時近くなる、空腹で聴講もなるまいと席取りをしてから急いで近くのコンビニへサンドイッチとコーヒを買いにゆく。

新開さんの「里山における昆虫との対話」も良かったが、中でも「送粉共生がはぐくむ植物の多様性」(加藤真 京都大学大学院 地球環境学堂 教授)はとても面白かった。
カンコノキという落葉低木とホソガ(鱗翅目に属する昆虫で羽を広げた大きさが10mm以下の非常に小さい蛾の仲間)との驚くような相互依存関係の話だった。
植物がその送粉者に種子の一部を報酬として与える送粉システムを「絶対送粉共生系」というようだが、その自然のシステムの巧妙さに驚かされる。
話を聞きながら、以前TVで見たことのあるアフリカの野生のイチジクとイチジクコバチの相利共生の関係のシーンを思い出していた。
他の講座は
鎖国がもたらした日本在来植物の園芸ブーム(仁田坂英二 九州大学大学院理学研究室 助教授)
危機から生まれた哺乳類   (岡田典弘 東京工業大学大学院生命理工学研究科 教授)

今日は偶然にも予期せぬ講座に潜り込めた。
カンコノキとホソガについての資料や論文を探して見なければならない。