ふと思い出して

昨日たくさん収穫した柚子を持て余して今夜も柚子風呂にした。少し熱めにした湯に浸かっていて、これまでにブログに書き入れていた俳句(?)は幾つくらいあるだろうかとふと思い、書き出してみることにした。

なにかの拍子に頭を過ぎって行ったものを書き留めていたのだ。一番最初に書き留めていたものが「みのむしのいる陽だまりで本を読む」2011-11-08。順次書き出してみる。

 鬼の子の箕も借りたし夜寒道

 秋深く雨降り止まず呆けおり

 老兵も銃置き去る日冬近し

 木守りの落つ道ゆくひとり影

 残り月虫撮りの日々如何ばかり

 歳旦に残りの日々を数えおり

 ともがらの訃報聞きおり月しぐれ

 山茶花より藪椿のほうがいい

 思いだけ飛び立っていく雪の朝

 老いてなお虫撮りしおり麦の秋

 虫撮りの老爺に来るか次の春

 わらび干す筵の上の母の影

 弱法師歩みのはての彼岸花

 鳥撮りの望遠重し寒雀

 老躯には重きレンズや寒雀

 痒い眼で眺めておりぬ春耕の田にムクドリの群れ二つ三つ(推敲しないままに)

 迷い来て路地裏道にネギ坊主

 吾に問うほろ酔いですかと酔芙蓉

 ファインダーに捉えきれずや落雲雀

 虫撮りに行く日待ち侘ぶ寒椿

 逝く友を送る道に柿すだれ

 彼も老い吾も老いたり山は雪

 病む妻の足の爪着る八十の春

 病む妻の爪を切りおり梅の春

 妻が病み庭の夏草猛々し

 落ち蝉を拾い上げおりガンを病む妻

 病む妻の寝顔の向こうに昼の月

 栗一つ手遊びしておりガンを病む妻

 眼デジの重さ堪らえてトンボ撮る八十路の秋は日毎深まる

 病む妻の視線の先の残り菊

 残菊に鋏いれおりガンを病む妻

 ぽとり落つ吽(うん)の足元藪椿

 モズの高鳴き未だ聞かずや老いの秋

 病む妻の手に花鋏や寒椿

 桜までと言われし命永らえて節分の豆妻が撒きおり

 冬去れば八十も半ばか風を聴く

 陽だまりに蜂の死を見たと残日録

 夕さりて寒風聴きおり残日録

 ひ孫抱く癌病む妻の頬紅く

 妻が病み夕餉はひとり外は雪

 病む妻に粥つくる朝しぐれ虹

 キジ撮りを待ち侘ぶ老爺に凍夜の月

キジのバトルのシーンは幾つか持っているが、来季には会心の一枚を撮りたいものだ。

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