焼野の雉

耕作放棄地の一つ、Cブロックと名付けている区画の一角が焼野になっていた。

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耕作放棄地は幾つもあるが、耕作放棄地に火が入ったのを見たのはこれが初めてだ。

これまではヨシやガマの群落を刈り払う作業はしばしば行われていたが、火が放たれるということはなかった。焼き払われることによって灰が養分となり、これまで以上に背の高いヨシ原が初夏には現れてくるにちがいない。楽しみだ。

このCブロックにはここを縄張りにしているキジがいた。砂浴びや母衣打ちを何度も見た。ここにいたヤツは火に追われて何処へいったのだろうか。

もうここでは見られないのではなどと思っていたが、なんとヤツは縄張りを守るかのように焼野の一角の少し高いところに陣取っていた。

距離を詰めても動き出すことはなかった。

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風も無く陽射しが暖かったので、キジの母衣打ちを期待して用水路のコンクリート壁に腰を下ろし、暫くの間キジの様子を眺めていた。残念ながら期待の行動はなかった。私が立ち上がると同時にキジも縄張りを見回るかのようにゆっくりと歩き始め、テリトリーを半周して焼け残った草むらに姿を隠す。

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これからキジの繁殖時期に入るがテリトリーを焼かれたコヤツは何処を縄張りにするのだろうか。ほんの一瞬だがオスが姿を隠したヨシ原の縁でメスのキジを見かけた。

メスもいるのだ。ペアになって巣作りを始めるのだろうか。雛を見てみたいものだ。不意に「焼野の雉 夜の鶴」という俚諺が思い浮かぶ。

焼野の雉、明日は雨の予報、雨が上がったら焼野のキジを探しに来ずばなるまい。