耕作放棄地のあぜ道で若いキジに出会う。いつもだったら足早に遠ざかっていく若ヤツがすぐ眼の前にいるのだ。悠然とこちらを見ている、これには驚いた。
至近距離でキジに対面したのはこれが初めての経験だった。暫くの間双方が身動きとれないという感じで佇んでいた。キジが動き始めてから一脚にしていた三脚の脚を広げたキジの後を狙う。
自分のテリトリーを見て廻るかのようにゆっくりと歩みを進め、3度ほど甲高い啼き声を上げ母衣打ちをした。
最後は花期の終わったレンゲ畑の中に姿を隠した。
一昨日草刈の行われていた耕作放棄地のヨシ原は、刈られた後に火が放たれ、ショベルカーで掘り起こされ、水田に戻すための整地がなされていた。
背の高いヨシが生い茂っていたこのヨシ原は格好のキジ撮りの場所だった。ヨシ原の根元に座り込むと冷たい北風からの避難場所にもなった。そんな場所が突然失われたのだ。寂しくなる。
耕作放棄地Aブロックのもう一ヶ所でもヨシ原は刈り払われていた。その刈り払われたヨシの中に身を潜めているキジも見た。