ハンター

夕方の散歩は日頃の運動不足の解消をと思い遠出した。
雑木林を抜け川筋の道に出た時、上流に向かって歩くハンターを見掛ける。
スコープを付けた猟銃を肩にかけていた。
この川沿いの林や竹藪にイノシシが出没する、また細流にはカモが来ていることも承知しているが、ハンターは何が狙いなのだろうか。
遠くの方で犬の鳴き声がする、仲間のハンターは先行しているようだ。

ハンターの後ろ姿をファインダーに捉えながら、ふと、井上靖の作品に「猟銃」という短編小説があることを思い出していた。
井上靖文庫・全26巻(新潮社)を夢中で読んだのは半世紀近くも前、今は納戸の奥にしまい込まれた本箱の中に眠っている。
納戸の本箱にはこの井上靖文庫全26巻のほかに「本覚坊遺文」や「風濤」など10数冊が押し込まれているが、再読はもう叶わないだろう、せめてハンターを見掛けたことで思い出した「猟銃」だけでも取り出して読んでみよう。

ハンターを見送った後獣除けの柵に止まるモズを撮る。
今日の唯一の収穫。