セミの脱け殻

雨上がりの階段でセミの脱け殻を見る。
昼過ぎ突風が吹いたから、階段の上に枝を延ばしている金木犀の枝先から落ちたのだろうか。
雨に濡れていた所為で、土中から這い出して来たばかりという感じの新鮮さを持っていた。


樹の枝などにぶら下がってカラカラに乾いたセミの抜け殻はよく見かけるが、今にも動き出しそうな空蝉を見たのは今回が初めてだ。

数日以内にはアブラゼミクマゼミの羽化が始まるだろう、羽化のシーンが見たいものだ。
羽化の行われそうな場所探しをしなければならないが、近くではそんな場所が少なくなっている。


除雪用ショベルにキアシナガバチが来ていた。
ショベルの柄を囓っているのだ、巣作りのための素材集めだろうか。
何度も来ているのだろうか、齧り取った痕跡らしきものが4ヶ所ほど見てとれる。

草叢で巣作りするアシナガバチを、巣作りの初期段階から3週間ほど追いかけたこともある。
(その巣はある日何者かに壊されてしまったが)
そのアシナガバチが巣作りをしていた空き地には今では家が建っている。

年々歳々虫撮りの環境が失われていくから、老いた虫撮り人の行動半径もますます狭くなる。
それに長い間朝夕の散歩に付き合ってくれたPUKUさんも、最近は足の調子が悪いのだ、そんなこともあって一層行動半径が狭まっているのだ。

  梢よりあだに落ちけり蝉のから     芭蕉