クロオオアリの獲物

沖縄地方では最大瞬間風速70mという巨大台風が荒れ狂っているようだ。
今は比良連山の麓も琵琶湖も穏やかだが、台風の進路予報を見るに日本列島を縦断する格好だ、11日頃は琵琶湖も大荒れするのだろうか。

散歩の折、空き地に入る石段でクロオオアリが獲物を運んでいるのを目撃する。

獲物の正体はよく判らないが、何らかの事情で蜂の巣から転げ落ちた羽化前の蜂の子のようにも見える。
クロオオアリは自分の体よりも大きな獲物をかなり速いスピードで運んでいる。

アリが獲物を運んでいるのを見る度に思い出す一枚の写真がある。それは白いチョウの翅を運んでいる様子をとらえたものだ。白い帆を脹らませて疾走するヨットを想像させた。
(写真家の名前も写真集のタイトルも思い出せない)
こんな写真を撮りたい、こんなチャンスに巡り会いたい、アリが獲物を運んでいるのを見ると必ず思うことなのだ。

垂直に近い石垣の上を獲物を咥えたまま速いスピードで登っていくクロオオアリを何枚も撮る。
書斎に戻ってパソコンに落とし込んだ時愕然となった。
全てピンボケなのだ。アリの動きをきちっと捉えるだけのシャツタースピードを欠いているのだ。
(上の一枚はアリが動きを止めた時のもの、ゴミ箱行きから救われたのはこの一枚だけ)

撮る前には必ずカメラの状態(絞り、シャッタスピード、ISO)をチエックするのに、アリだ、獲物だということと、それに速い動きで石垣の上の草叢に隠れそうになる、そんな状況からチエックを忘れていたのだ。
それともう一つ、撮影の途中、カメラのモニターで必ず行っていたチエックも忘れているのだ。

まともな写真が撮れるはずがない。
オマエさんも耄碌したものですね、自嘲していた。