雨上がりのAさんの菜園に行く。
雨上がりの所為だろうか、何とも言えぬ懐かしい匂いが漂っていた。トマトの木の匂いだ。
これまでにAさんの菜園のトマトの上では、テントウムシやバッタ、ベニシジミなどの虫撮りをしている、それなのにトマトの木の匂いを殆ど感じたことが無かったのだ。
トマトの木の匂い、懐かしさのあまり深呼吸をしていた。
遠い遠い昔、いつも空きっ腹を抱えていた腕白時代、早朝のトマト畑で夜露に濡れ夜気に冷やされたトマトに齧りついた記憶がある。
木の上で完熟したトマトの何と美味かったことか。
流通過程で赤くなったトマトではなく、記憶の中にあるような味のトマトを喰ってみたい。
記憶の中の光景やトマトの味を思い出しながらしきりにトマトを食いたいと思っていた。