素足にサンダル履きという格好で、朝早いうちに雨上がりの草叢へ入る。
虫撮りと言うよりは草叢の冷たい感触を味わってみたかったのだ。
ズボンの裾が濡れるのもお構い無く草叢を歩き廻る。
時々こんな衝動に駆られることがあるのだ。
いつだったか、背の高い草叢を歩き廻った所為で腰から下が水に入ったような状態で帰ったことがあり、その時ばかりは玄関先でカミサンに睨まれた。
「歳がいったら子供に帰ると言うけれど、本当に70すぎの幼稚園児ですね、またですか」
草叢では5・6mmほどのキリギリスの幼体がかなりの数、眼についた。