麦秋落葉

玄関横の金木犀の刈込みを四年ほどやっていない所為で枝は伸び放題になっている。
花が終わったら思い切って枝打ちしようと毎年思いながら、作業は手付かずのままだ。
この樹に若葉が茂り始めると古い葉が麦秋の間毎日のように落ちる。
金木犀の葉は肉厚で硬質な葉っぱであるだけに、耳をすませて聴いているとカサカサと音をたてながら落ちてくるのだ。

この麦秋落葉で思い出す事の一つに阿讃山脈徳島県側の山里で、楠の巨木がびつくりする程の葉を降らせているのに出会ったことがある。小さな神社の境内は楠の落葉が降り積もっており、その上に座り込んでお握りを食べながら、頭や膝の上にサラサラと落ちてくる葉を楽しんだことがあるのだ。
後にも先にもこんな経験はこれ一回だが、その時の光景を鮮明に覚えている。
桜の花片が風に舞うとか紅葉が降りしきるとかの華やかさは、麦秋の頃の落葉には無いが、私は何故か麦秋落葉が性にあっている。

今日の虫撮りは小さな谷間の畑にある用水槽で見つけたショウジョウトンボイトトンボだ。