イラガの繭(2)

昨夜昆虫写真家新開孝さんのブログでイラガの繭と寄生蜂イラガセイボウの記事を拝見してから
イラガセイボウの羽化を見てみたい、そんな思いが今朝は一層強くなっていた。
午後からイラガの繭が在りそうな心当たりの場所へ出掛ける。

川沿いの少し高台になった畑の斜面に柿の古木が三本、高々と枝を広げている。
想像していたようにイラガの繭を一〇個ほど見つけたが、いずれも手の届く枝にはない。
辛うじて枝を撓めたら採れる枝先の一個を頂いて帰ることにした。
その枝にはミノムシ(オオミノガ)とイラガの繭とがくっついていた。

この繭にはイラガセイボウが卵を産みつけた「産卵痕」が見当たらないのだ。
イラガセイボウの羽化を見るためにはイラガの繭を、しかも産卵痕の在るやつをかなりの数集めねばなるまい。
少し暖かくなれば今津町深清水の柿畑に潜り込んでみるか、剪定されて積み上げられている柿の枝が狙い目だろう。

帰り道川沿いの道を上流の砂防堰堤まで歩くことにした。
川の上を上流に向かって飛び去ったカワセミを今日も見たからだ。
カワセミが魚を狙うには砂防堰堤の上の水溜りが格好の場所ではと思いついた。

一〇年近く前まではこの川沿いの道を通り竹林の中を抜け、目的の棚田や雑木林に虫撮りによく出掛けたものだ。

昔の道は農家の人や農作業の車両が通っていたからそれなりに道は補修されていたが、今では荒れ果てた轍の跡が続き、両側には放棄田が広がっている。
農地が荒れるにつれ川の中も荒れて汚れている、それに上流には廃土や産廃がおびただしく積み上がっているのだ。風土が傷つけられてゆくのが悲しくなる。

先日の写真仲間Tさんのメールにヒメオドリコソウを見っけたと記されていたことを思い出し、旧い記憶を頼りにヒメオドリコソウの群落のあった田圃の斜面に行ってみたが、そこはセイタカアワダチソウやカヤの荒地に変わっていた。
またその田圃へ向かう道端にはナズナオオイヌフグリの花が咲き誇っていたが、それも様変わりしたかのようにその草の姿が見えないのだ、放置されてしまうと植生も変わるのだろうか。
寂しそうに咲く一輪を見ただけだ。


一〇年ほど前までは川沿いのコンクリートの土手を通りやすやすと砂防堰堤まで行けたが、今では護岸の一部が壊れたり、土手に覆いかぶさっている雑木に遮られて行けずだった。