石の佛たち(2)

第1日目の宿は黒川温泉郷にした。
田の原川(筑後川本流の上流部の別名)沿いのその宿は、レトロと言うか、鄙の宿。
食事は良かったが内湯は薄暗く露天風呂ももう一つだった。
それに川沿いの斜面に建てられている所為か階段が急で老爺には危なっかわしい。
これで料理が不味かったらカミサンに何と言われたことやら。

夕食の後その日に撮った分をチエックする、メモリカードCFに余裕はあるが荒選びだ。

石仏は風雨に曝されて来た為風化し、お顔や衣に施されていた色彩ははげ落ちているが、残された色合いからみて最初は鮮やかな色だったと想像される。

臼杵石仏造営の発願の事情や時期についての文献史料は一切残っていないというが、この佛の前で朝夕祈りを捧げる里人の姿や草深い山里の様子が思い浮かぶ。

佛に対して形式的に手を合せることはあるが、帰依する心から祈ったことはない不信心さだ。

石仏火祭りが8月の終り頃行われるという、松明の灯りに照らし出された石の仏さま、見てみたいと思う。
普光寺は紫陽花の寺のようだ。
紫陽花の向うに屹立する磨崖仏・不動明王像もきっと良い被写体になるに違いない。

豊後大野市の冬がどんな状況なのかは知らないが、雪が降るとすれば、この不動明王の磨崖仏が薄雪を被っていれば面白いかもしれないと想像の世界を脹らませてもいる。