土偶とアゲハ

安土城考古博物館で県文化財保護協会主催の講演会「日本最古級・相谷熊原遺跡出土土偶から日本文化の基層を探る」が開催される日だ。
安土まで出かけるのだから、朝早く家を出て西の湖や博物館周辺の山で虫撮りもやろう。
そんな計画だったが、朝寝坊してしまい午後一時からの講演会にギリギリ間に合う出発時間になってしまつた。

急ぎ足で階段を降り道路に出た時、道路の真中でバタバタ動くものがある。
ナミアゲハなのだが羽の形と様子がおかしい。
羽化の時にサナギの殻から完全に抜け出せなかったのだ。

そっと取り上げて道路の端っこに移す。
それから胴体と羽の一部に絡まっている殻を取り除いてやる。
身軽になった彼女はゆっくりと石垣を登り始めた。
羽化したばかりのようだったから羽がきれいに伸び乾けば飛べるだろう。
講演会がなければ最後まで観察していたかったのだが。