ルリビタキの死

「小さな命の終わり」というファイルを持っている。
虫撮りを始めた頃から路傍で見付けたチョウやトンボ、セミなどのなきがらをも撮っていたのだ。
このファイルの中に小鳥の死という全く異質な死が加わることになった。
(図鑑で調べてみるにルリビタキのようだ)


虫撮りの時だったら小鳥の死を見付けても左程関心を払わなかっただろうが、鳥撮りを始めている所為だろう、石積みの突堤の上で青い羽根の小鳥の死を見た時は思わず立ち止まった。

初めて見る青い羽根の鳥だ、死してもなお美しい羽の色。
この鳥の死を撮るのに150-600mm望遠ズームではどうしようもない。
普段だったらやらないだろうが初めて見る死故に、機材を詰め込んだザックとカメラを草叢に置くと、少し離れた所に駐車している車までコンデジEX-10を取りに駆け戻った。
老躯走る、走るということを長い間やったことがない老爺が走ったのだ。

ルリビタキの死骸をポリ袋に入れて持ち帰ることも考えたが、そんなことをするよりも綺麗な鳥はこのまま石積みの突堤の上での風葬が似つかわしい、と思い直しそのままにしておいた。

木の上で啼いているルリビタキが見たい、そんな思いが募っている。