廃船・1

堅田漁港の一角に廃船溜まりと言ってもいい場所がある。
長い間放置されたままの漁船、半ば沈みかけた舟、船上に草を茂らせた船もある。
船の墓場だ。

昨日の近江歴史探訪の折の尾上港(長浜市)でも何艘かの廃船を見かけた。

中でも修理のためか船台に載せられて引き上げられ、そのまま放置されたと思える船は何とも痛ましかった。


船台に載せられた船がその船首を突っ込んでいる建屋から人の気配が消えて、相当の時間が経過しているようだ。
散らばっている工具の幾つかには赤錆がかさぶたのように浮び上がっている。
油の付いた布切れやブラシなどはぼろ切れ状態だ。

この船は修理がされることもなくこの場所で朽ち果ててゆくのだろうか。
修理され新しく塗装が施され、生まれ変わって湖上に出て行けるのだろうか。
この船を操って琵琶湖で漁をしていた船頭さんは今も元気だろうか。

いろんな事を想像していた。

老躯無惨、そんな言葉を思い出し寂しさを感じていた。