アゲハの羽化

飼育箱のアゲハのサナギの一つが羽化の前兆をみせている。
腹部が大きくなり胸の辺りが少し黒っぽい感じなのだ。
まだ体をピクンピクンさせたり、ブルルンと体を震わせる行動は見えないから、羽化にはもう少し時間がかかるだろう、そんな事を思いながら、どのサナギが羽化し始めてもいいように三個のサナギを取り出して、羽化を撮る為の準備にかかる。

カメラのセッティングが終わるのを見計らったように、買い物に行きますよとカミサンから声が掛かる。今日は料理当番の日だ、サナギの様子が羽化直前の状態だったら買い物どころではないのだが、羽化までにはかなりの時間が有りそうだったので買い物に行く。
メニューは「ポトフ」「手羽先とレンコンの甘酢炒め」「海藻とオイルサーディンのサラダ」

朝昼兼用の食事を済ませ書斎に上がった時、あっ!となった。
アゲハが羽化を終え窓際にいるのだ、しかも三頭だ。

三個のサナギが同時に羽化するとは。思いもよらぬ出来事に驚いていた。
楽しみにしていた羽化の様子を撮ることが駄目になったのだ。

がっかりしながら後片付けにかかっていて、今度はえっ!となった。
飼育箱の上蓋にぶら下がっているサナギ二個、飼育箱から脱走してTV背面のコードにしがみついて蛹化したもの一個。(脱走して階段の踊場にいた一番大きかった幼虫は飼育箱に戻したがその後死んでしまった)合計三個のサナギと窓際にいるアゲハ三頭、なんの不思議もないはずなのに、黒い上蓋にぶら下がっているサナギは未だ羽化してはいないのだ。

何じゃこれは!!

書斎の飼育箱に採り入れたアゲハの幼虫は四体のはずだったのに、五体だったのだろうか。
老兵のボケも進行し始めているのだ。幻視が始まっているのか。