お花畑無惨

松の木内湖へトンボ撮りに行く途中で必ず寄る所がある。
内湖の近くの集落に花を絶やさないお宅があるのだ。
菜園とお花畑が同居しているが結構広いお花畑で手入れも行き届いていた。
世話をしているのはごま塩頭の背の高い老爺だった。
今の時期には百日草やひまわりが咲き誇っている。
畑に入ることを許してもらって、昨年は夏から秋にかけ、このお花畑で蝶の写真を何枚も撮った。


ところが今年はこのお花畑が消えているのだ。
畑一面に雑草が生い茂り、見る影もない無慙な姿に変わり果てている。
こぼれ落ちた種から生えたと思われる百日草が雑草の中に見られる、それが余計に無慙だ。

昨年まで畑の世話をしていたあの老爺は、どこか具合でも悪くなっているのだろうか。
それとももう居なくなってしまったんだろうか。

年年歳歳花相似たり
歳歳年年人同じからず
お花畑を後にしながらふとこんな詩の一節を思い出したが、この荒れ果てたお花畑を見ている限り
年年歳歳花相似たり」の一節は間違いでは無いのかという思いがした。
花も人も同じではない、無常なのだ。