湖の荒れる日

この一週間はまるで冬眠状態だった。
書斎に上がることもなく呆け暮らしが続いていた。
呆け暮らしに終止符を打つためにもと、久しぶりに午後からカメラを持ち出した。
寒風の吹きすさぶ中湖岸を歩く、車載温度計は5度だったが体感温度はもっと低かった。

冷たい風が吹き高波の立つ湖面では、僅かにカモの仲間やオオバン、カモメを見ただけだった。
湖岸のヨシ原にいつもいるホオジロも近くの湖面のカイツブリも見当たらなかった。
アオサギもカワウもいなかった。
こんな荒れた日には鳥たちは何処に隠れているのだろうか。

白波の立つ砂州にいたカモ、波穏やかな漁港に来ていたカモたちとコサギを撮る。

鳥たちにレンズを向けながら、年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず、こんな一節を思い出していた。寒風の中に立つ老躯は昨年と同じ老体なんだろうか、ふとそんなことを考えていた。