トビとチュウサギ

風もなく陽射しの暖かい昼下がり、読書の眼休めにと鳥撮りに出掛ける。最近は電子書籍を専らにして読書をしている所為だろう、紙の本の時と比べて眼の疲労が重くなっているのだ。それに運動不足、何とも不健康な日々が続いている。

小一時間、重いヤツと三脚を持って歩いたが、今日は不思議と鳥もアングラーも見かけないのだ。和邇川河口の駐車スペースにも奈良ナンバーの車が一台いただけだった。湖面にも渚にも、見渡す限りの田んぼにも全く鳥の姿がない。

今日は鳥撮り不作かと思いながら歩き廻っていてやっと見たのは、耕作放棄地のヨシ原の先にいたトビ。そして帰り道の和邇川の中にいたチュウサギのみ。

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琵琶湖の水位がマイナス70cm近くなっていることから、和邇川の河口最先端に砂州が現れこれによって水流がL字になって流れ込んでいるのだ。今日はここに鳥たちが来ていなかったが、このL字になった水路はサギたちが小魚を捕食する格好の場所になるのだ。時間を見つけて狙いに来なくてはなるまい。

ツヤアオカメムシと本の購入

琵琶湖西岸では強風注意報が出ていることもあり、時折、思わぬ突風に遭う。買い物帰りの荷物を運び下ろしていて、よろけそうになる強風に一瞬見舞われた。JR湖西線は強風警報が発令されると電車の運休がしばしばあるのだ。そんな風の中で、擁壁に這うツタの紅葉の上にしがみつくようにしているツヤアオカメムシを見つけ、コンデジを引っ張り出した。

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我が国には1300種ほどのカメムシがいるようだ。身の危険を感じると強烈な臭いを放出するが、くさいヤツを出すカメムシはそう数は多くないという。ほんの一部のようだがそのくさいカメムシの代表格がコヤツ、ツヤアオカメムシなのだ。

コヤツを見ていて、その悪臭ということから、アニメ「風の谷のナウシカ」の腐海のシーンをふと思い浮かべ、このことから先日新聞の書評欄を見て気になっていた本(「スタジオジブリの想像力」三浦雅士 講談社)のことを思い出す。

電子書籍で入手可能だったので衝動買いしてしまった。

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紙の本だったら購入しなかっただろうに。

ツヤアオカメムシは成虫で越冬するという。コヤツは何処に潜り込んで一冬を過ごすのだろうか。

師走のジョロウグモ

ベランダの庇のすぐ横にジョロウグモが巣網を掛けたのは、秋の初め頃だった。コヤツの成長や獲物の捕獲などを見るのを楽しみに巣をそのままにしておいた。幾つかの巣網に掛かった獲物の痕跡があるが、残念ながらその捕獲の様子を見ることはなかった。師走の冷たい風が吹き抜けていく場所なんだが、巣には今もジョロウグモがいる。最低温度2度という寒空がこれまでに何度かあったが、それでもコヤツは生き延びているのだ。

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小さな庭の柚子の木の周囲ではクモの巣が3ヶほど寒風に揺れているが、これらにはかなり前から住人はいなくなっているのだ。今も生きているベランダのクモと柚子の木の近くで巣を張っていたジョロウグモと、条件にどんな違いがあったのだろうか。

師走の寒風の中のジョロウグモ、コヤツはいつまでの命なんだろう。命が終わるとポトリと巣からおちるのだろうか、それとも巣に足を掛けたまま巣が破れるまでそこにくっいているのだろうか。

ご近所のIさんが冬用のタイヤに履き替える作業をしていた。老爺はガソリンスタンドでタイヤ交換をやってもらうためにタイヤを車に積み込むのさえ出来なくなっているのに、ほぼ同い年のIさんは軽々と作業をしているのだ。驚きをもって眺めていた。

 

 夕さりて 寒風聴きおり 残日録       風来坊

姫リンゴとハチの死

キジ撮りのフィールド、耕作放棄地の一つに、長い間放棄され原野に還り木々の生い茂った一区画がある。キジの重要な営巣場所になっているのだ。この林の中にひょろひょろと伸びた背の高い姫リンゴの木が一本ある。鳥の落し物が大きくなって実をつけるようになったのだろう。モズを追いかけていて赤い実を見つけ頂いて帰った。

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鳥が食えるものならば人も食できると思い囓ってみる。酸味の強い少し渋みがあるが、歯触りも味もまさにリンゴだった。コンポートにすればどんな味わいになるだろうかなどと、いろいろ想像しながら小さな小さな実を囓っていた。

もう随分以前だが、朽木村の奥山の雑木林で野生のサルナシの実を見つけ囓ってみたことがある。秋の初めだった。熟す前の青いヤツだった所為か、思わぬ酸っぱさと渋みに、吐き出していた。雑木林を歩く折に見つけてはいろんな野生の果実をよく囓ったものだ。

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寄り道をした菜園(年老いた夫婦が季節季節の野菜を栽培していたが、今では放棄されて久しくなり、草むらは老爺の絶好の虫撮りの場所になっている)の南斜面下の風の当たらない石の上の陽だまりでハチの死を見る。風雨に曝され続けた様子には見えないのだ。何処かの寒さのしのげる所で生き延びてきていたのだろうか。

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 陽だまりに蜂の死見たと残日録    風来坊 (推敲しないままに)

ウインドサーファーとコサギ

昼下がりの湖岸を小一時間歩く。和邇浜近くの湖面で見られる水鳥の姿はほんの僅かばかりだった。湖北の山本山に今年もオオワシがやって来たという新聞記事を3日ほど前に見ている。鴨たち冬鳥の飛来ももう間無しだろう。冬鳥たちの賑わいが待ち遠しいものだ。今日はバスボートの影もなく、一人のウインドサーファーを見かけただけだった。

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比良颪が吹き付けるとかなりのスピードで湖面を滑って行く。岸辺近くの杭の上にコサギがいるのだ。

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このコサギとウインドサーファーとの組み合わせで1ショットできればと思い三脚を据えたが、コサギのフレームの中にサーファーがやって来ることは無かった。

帰り道、カワラヒワの小集団を見る。

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早いもので明日から師走だ。今年の老爺の虫撮りや鳥撮りはなんと少なかったことか。残りの1ヶ月はどんな具合になることやら。

アオサギと青いトラクターそしてドジな奴

見渡す限りの田んぼと田圃道には人っ子一人いない、それと同時に鳥たちの姿も見当たらないのだ。見かけるのは空の高みでゆっくりと舞っている3羽のトビだけだった。フィールドを一周りしていてやっと見つけたのがアオサギアオサギの近くにある青いトラクターをバックにしたらと、構図のことを考えて田圃道を大回りした。アオサギが飛び立たないことを祈って小走りだ。おかげで老躯は息切れがしている。

アオサギは飛び立つことなく餌を探しながらトラクターに近づいていく。

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1ショットしながら少しず間合いを詰める。思い描いている構図にと回り込んだのがよくなかったのか飛び立たれてしまう。昨日のトビと赤いトラクターは思いの方向でシャッターが切れたが今日はままならずだった。

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この青いトラクターがいる近景の田んぼは人参畑。一昨昨年まではヨシやセイタカアワダチソウの茂る耕作放棄地、絶好のキジ撮りの場所だった。キジの営巣場所だったのだ。今ではある農業法人が借り受けて元の田んぼに開拓し直し、季節季節の野菜を栽培している。

アオサギと青いトラクターを1ショットした後和邇川の河口へ向かう。河口の駐車スペースで、尾張小牧、和歌山、奈良、それと川崎ナンバーの車がいるのを見る。川崎ナンバーとは遠くから来たもんだ、東名名神をぶっ飛ばしてきたのだろうか。沖合ではバスボートが5隻、湖中に立ったり岸からだったりのアングラーが4人いた。

渇水した河口で小魚を狙っているチュウサギを見る。何度も水中に嘴を突っ込むのだが捕れないのだ。なんともドジな奴だった。

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魚の影を見つけてはあちこちへと追いかけているのだが獲物にはありつけずだった。バスボートが岸に近づいてくるのに気付き飛び立つていった。

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サギたちの捕食シーンを随分撮ってきたがこんなドジなヤツを見たのは初めてだった。

本日晴天、好日だった。

トビと赤いトラクター

初冬の野面で鳥を撮りたい、そんなことをしきりに考えながらも、10月の終わり頃から、長いヤツを持ち出すことがなかった。ブログも半月以上更新せずだ。今日は風もなく穏やかな陽射しが降り注いでいることを幸いにキジ撮りのフィールドへ出掛ける。

田んぼの荒起しをしている赤いトラクターとトラクターが掻き上げた土塊の間に出てくる虫を狙うトビがいるのを見つけ、一脚を杖代わりにして畦道を急ぐ。

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マスクを付けなくてもいい田圃道、久しぶりに過ごした素晴らしい半時だった。