蜂蜜酒を注文する

「発酵食の歴史」の中に、人類が口にした最古の酒が蜂蜜酒だという記事を見る。全くの下戸だから酒類には縁遠く、ましてや蜂蜜酒などその存在も知らなかった。知らなかったが故にどんな酒なんだろうと思い始め、ものは試しにとAmazonに注文した。

蜂蜜酒を注文しながら斗酒なお辞せずだったOさんのことを思い出していた。大手コンピュターメーカーの凄腕プログラマーだった彼女は酒と旅が大好きだった。それが昂じた揚げ句、独立してソフトウェア会社を設立した。経営が軌道にのるとパートナーにあとを任せて世界をうろつくバックパッカーになった。旨い酒と肴は現地で、これが彼女のいいぶんだった。

いつの頃からか音信が途絶えたが、お元気だったら90歳過ぎのオバアサンだ。

 

朝焼けの湖面

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帽子を洗う

呆け暮らしが始まりそうになった昼下がり、一夏被っていた帽子を洗う。カミサンに教えてもらったやり方で洗剤や漂白剤を調整し一つづつ手洗いする。

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思うに、料理とか自分の部屋の掃除はしてきたが、洗濯という行為は結婚して以来50年近く行ったことがないのだ。そんな事もあって洗濯機の使用方法など全く判らないでいる。日陰に座り込んで帽子を洗いながら過ぎ去った歳月と残されている時間のことを考えていた。人は皆、死があることを知っているが、死がいつ訪れるかは誰も知らない。こんな言葉が一瞬頭をよぎった。何かのエッセイで読んだと思うが誰のエッセイだったかは思い出せない。

帽子洗が終わった。次はスニーカーやサンダル、トレッキングシューズも洗わねばなるまい。

マリー=クレール・フレデリック著「発酵食の歴史」非常に面白い。もっと早く発酵食のことを知っていたらいろんなものを食せただろうに、そんなことを思いながら夢中で読んでいる。

呆け暮らしをせずに済んだ、まずは好日としよう。

ツマグロヒョウモンの幼虫

昼過ぎ図書館へ行った折、玄関前の焼けつくような石畳の上にいるツマグロヒョウモンの幼虫を見つける。車載温度計は33度を示していたから日陰のない石畳の上は焦熱地獄になっているだろうに、ツマグロヒョウモンの幼虫が這っているのだ。驚きだった。コヤツは何処から来て何処へ行くのだろうか。周囲を見渡した限りではツマグロヒョウモンの卵が幼虫になったと思われる場所は見当たらないのだ。パンジーなどが植えられたプランターでもあればツマグロヒョウモンの幼虫がいることにも納得できるのだが、それらしきものも無いのだ。

孫娘のところの庭に三色スミレがあるのを思い出し幼虫を持ち帰った。明日にでも食草のスミレに放してやろう。

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小倉ヒラク著「日本発酵紀行」を予約しているのだが予約の順番待ちが多く随分先になるとのことだったので、「発酵食の歴史」マリー=クレール・フレデリック著 吉田春美訳 原書房 を借りて帰る。書架で見つけた塩野七海の「逆襲される文明」「ローマの街角から」と「季語を知る」片山由美子著も併せて借りだした。

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昨日の案山子の事から俳句2句

 案山子かと見れば人なり稲熟る    日野 草城

 耳遠く目のかすみたる案山子かな   飯田 蛇笏

案山子

午後から小さな谷間の畑へ行く。畑へ向かう急坂を下りていて、下の畑に人がいるのを見つけ声を掛ける。畑のあぜ道を通らせてもらう時などの礼儀として一声かけることを習いにしているのだ。農作業の手を休め休憩している様子の人からの反応がない。案山子だったのだ。ファインダーを覗きながらよくできた案山子に微苦笑していた。

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小さな谷間の畑の一角に落ちこぼれた種が広がったであろうニラの群落がある。そこはこれからの時季花が盛りになるとアゲハ、ツマグロヒョウモン、キチョウ、タテハ科の仲間、カナブンなどいろんな虫たちがやって来る、格好の虫撮り場になるのだ。今日もチョウたちが来ているのを楽しみに出掛けたのだが、思わぬ光景を眼にする。ニラの群落が在った所は雑草の繁茂を防ぐための黒いビニールシートに覆われているのだ。虫撮りの場所が一つ失われたことが何とも寂しかった。

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黒いビニールシートに覆われた畑の土手にはヒルガオの葎も広がっていたがその姿もない、ぽっんと咲く一輪を見ただけだった。

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小さな谷間の畑では虫撮りは全く成らずだった。おかげで虫撮り用の重装備のショルダーバッグが肩に重く、帰りの坂道はよたよたと上る始末だ。葛のつるが道に伸び出しているところもあり、用心しないと足をとられそうになるのだ。一歩ずつ踏みしめるように歩く。雑木林の道では汗の噴き出す腕や首に薮蚊が襲ってくる、一息入れるため立ち止まる度に薮蚊を叩き潰すことになった。

今日の虫撮りは帰り道で見つけた、道を横切っていくキリギリス。

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モンクロシャチホコの幼虫

今日から9月、気合を入れて虫撮りをする第1歩だと思い、100mmマクロ、75-300mmズーム、17-70mmズーム、EOS7D及び70D.それにペットボトルやニーパットなどを用意して、午前10時過ぎ小さな谷間の段々畑を目指すも途中で断念した。風は心地良かったが陽射しは厳しく、日陰を選んで歩いていても汗が噴き出してくるのだ。それに夏場の運動不足が祟って息切れがすると同時に膝ががくがくしてくる。虫撮りの遠出はもう少し涼しくなってからですね、老躯に言い聞かせるようにして引き返した、

帰り道、ITOUさんの菜園に立ち寄る、とりあえずの虫撮りだ。

菜園のサクラの木におっ!と思うほどのモンクロシャチホコの幼虫がいた。

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2-3日もすればサクラの木は丸裸にされてしまいそうな勢いで幼虫は葉を齧っていた。幼虫のいる木の下の冬瓜の葉の上には大量の糞が落ちている。この糞を目当てにミスジバエが来ていた。

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この大量の糞をまき散らした終齢幼虫は、まもなく木から下り地面に潜り込んで蛹化するのだ。ITOUさんが秋撒きの準備の畝起こしをする時には頼み込んでコヤツの蛹を探してみたいものだ。

*モンクロシャチホコの成虫(撮影 8月7日)

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菜園にいた虫たち

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アゲハ、アシナガバチ、オンブバッタ、ショウリョウバッタヒカゲチョウイチモンジセセリ、モンシロチョウ、ウリハムシ、チョウセンカマキリなども見かけた。

 

本日まずは好日、呆けずに済んだ。

背中に花粉をつけたキアシナガバチ

庭のノウゼンカズラが2度目の花期を迎えている、それに今日は爽やかな陽射しもあり、ノウゼンカズラの花にはアゲハが4頭キアシナガバチが3匹来ていた。キアシナガバチの1匹は背中に花粉をいっぱいつけているのだ。見ていると花を渡り歩きながら花のかなり奥まで体を突っ込んでいた。ミツバチが背中や脚に花粉をつけているのはよく見かけたが、アシナガバチが花粉を背中につけているの見たのは初めてだ。

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アシナガバチも花粉団子を作るのだろうか。

 

ノウゼンカズラの花に来たアゲハ

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8月も今日で終わりだ、夏眠状態を続けていたがこんな状態も終わりにして、明日からは気合を入れて虫撮りにかからねばなるまい。

 

旅に出たい、そんな思いが募っている。

饅頭が食いたい(2)

講演会から帰り書斎に上がった時、机の上に小さな小包が置かれているのを見つける。司馬さんの街道をゆく肥前の諸街道」を読んでいて、文中に出てくる唐津名物「松露饅頭」を食うシーンが面白く、自分も賞味したいと思い注文しておいたものがやっと届いたのだ。

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司馬さんは松露饅頭を一口食べる時、苦みのあるカンパリソーダを注文している。下戸の私は酒類というわけにいかないので渋茶を用意した。司馬さんと同席していた下戸の須田画伯は松露饅頭の箱を抱え込むようにして饅頭をパクついているが、この時の飲み物は何だったのだろうか、いろんなことを想像していた。あまり甘くないあんこの詰まった小さな焦げ茶色の饅頭、美味いと思った。

 

今日の講演会は「ホトケの姿カミの影~仏像・神像からみる近江の神仏習合~」講師 滋賀県立近代美術館 学芸員 和澄浩介。会場 コラボしが21 3F大会議室。

古事記日本書紀、藤氏家伝、日本霊異記懐風藻、日本三大実録などの古文献から拾い上げた、日本の神の姿や仏の姿、神と仏の出会い、近江の神仏習合などを簡便にまとめ上げてくれていて面白い講座だった。