案山子

午後から小さな谷間の畑へ行く。畑へ向かう急坂を下りていて、下の畑に人がいるのを見つけ声を掛ける。畑のあぜ道を通らせてもらう時などの礼儀として一声かけることを習いにしているのだ。農作業の手を休め休憩している様子の人からの反応がない。案山子だったのだ。ファインダーを覗きながらよくできた案山子に微苦笑していた。

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小さな谷間の畑の一角に落ちこぼれた種が広がったであろうニラの群落がある。そこはこれからの時季花が盛りになるとアゲハ、ツマグロヒョウモン、キチョウ、タテハ科の仲間、カナブンなどいろんな虫たちがやって来る、格好の虫撮り場になるのだ。今日もチョウたちが来ているのを楽しみに出掛けたのだが、思わぬ光景を眼にする。ニラの群落が在った所は雑草の繁茂を防ぐための黒いビニールシートに覆われているのだ。虫撮りの場所が一つ失われたことが何とも寂しかった。

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黒いビニールシートに覆われた畑の土手にはヒルガオの葎も広がっていたがその姿もない、ぽっんと咲く一輪を見ただけだった。

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小さな谷間の畑では虫撮りは全く成らずだった。おかげで虫撮り用の重装備のショルダーバッグが肩に重く、帰りの坂道はよたよたと上る始末だ。葛のつるが道に伸び出しているところもあり、用心しないと足をとられそうになるのだ。一歩ずつ踏みしめるように歩く。雑木林の道では汗の噴き出す腕や首に薮蚊が襲ってくる、一息入れるため立ち止まる度に薮蚊を叩き潰すことになった。

今日の虫撮りは帰り道で見つけた、道を横切っていくキリギリス。

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