高速で翔ぶアオスジアゲハ

書斎の遮光カーテンを半ばまで開けた時、手すりにアオスジアゲハが止まっているのを見る。今期はこれまであまり見かけることがなかっただけに嬉しくなり、カーテンをそろりそろりと開けた。この行為がよくなかったようだ、ヤツは敏感に反応して翔び立つ。眼の前を斜め上に翔び出し、その後背の高いハナミズキのあるお向かいの庭に向かう。そこを横切り、雛壇状の住宅地の上を高速で琵琶湖に向かって飛び去って行った。あっという間に小さい点になる。

小さな点を見つめながら、おーい蝶よ そんなに急いで何処へ行くんだい ずつと琵琶湖の浜までゆくんかい、と山村暮鳥の詩「雲」を思い浮かべながらそれを真似て口ずさんでいた。

アオスジアゲハは日本のチョウの中では最も飛翔力が高いという。この高速で翔ぶアオスジアゲハを見ると決まって思い出す風景がある。龍谷深草キャンパス紫光館の正面玄関、そこには大きな楠が5本ほどあり、アオスジアゲハをときには4・5匹も同時に見かけることがあったのだ。

3階の事務室で受講の受付を済ませ、エレベータホールに出るとすぐ目の前の楠に来るアオスジアゲハを探すのが、紫光館で受講する時の習慣だった。楠の最も高いところから高速で下降し再び上昇していく、燦めくような青筋の翅、素晴らしいシーンだった。もう一度見てみたいと思うが、講座はZOOMを利用した講座になっているようだし、それに聞きたいと思う講師、山田明爾名誉教授も既に故人なのだ。

(2019・9 撮影のアオスジアゲハ、この後の撮影がないのだ)

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暑さに負けずアオスジアゲハの飛翔を撮りに行かねば、Uさんの庭のセイヨウニンジンボクも花ざかりだろうからヤツも来ているだろう。