赤い手押しの田植え機を見た

フィールドに入ると間なし2度ほどケーンケーンと啼くキジの声を聞く。その声を目当てに草むらに入り、あちこちと丹念に探したが姿は見つけ出せずだった。20分近くも経った頃、思いがけない草むらにいるのを見付ける。ヤツは一定の間隔で草むらから頭を出し周囲を伺い、再び草むらに身を沈め全く見えなくなる。非常に用心深いヤツのようだ。若いキジのように見えた。

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動きが単調だったので鳥撮りを諦め、150-600mmを外して35-350mm望遠ズームに装着し直し、農作業をする人を狙うことにした。

4月の終わり頃から5月の連休中にかけ田植えが盛んで大勢の人を見たが、今ではポツンポツンと人影を見るだけだ。そんな野面の中で赤い手押しの田植え機で作業している人を見る。見渡す限りの田んぼには苗が見て取れるから、おそらくこの人達の田植えが最後だろう。

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作業しているのは若い夫婦だ。これまで見掛けてきた田植えや草刈りの人たちは、相当に老齢の人たちだったから、若い夫婦の作業に新鮮な感じを覚えていた。それに赤い手押しの田植え機も珍しかったこともありしばらくの間眺めていた。

この後、場所をかえて農作業を撮る。

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後何日間は田植え後の追い肥を散布する人を見掛けるだろうが、その後は田んぼから人影がなくなるだろう。人っ子一人いない田圃道をほっつき歩く、楽しみだ。

滋賀県では過去最高のコロナ感染者74人と報じられていた。田圃道歩きに3密は皆無だがワクチン接種をやらねばなるまい(あまりやりたくないのだが)。

帰途につくまでキジの姿も啼声もなかった。ギョギョッチ、ギョギョッチ、チチチチッとオオヨシキリの囀りだけが野面に響き渡っていた。時には、ゲゲッチ、ゲゲッチ、チチチチッツーと聞こえることもあるのだ。この声を聞きながら詩人草野心平が作り出していたオノマトペの世界を思い浮かべていた。