木守り柿

随分久しぶりに長いヤツを持って初冬の田圃道を歩く。耕作放棄地の背の高い草むらの深みにスズメくらいの野鳥の集団がいた。草むらの間を飛び交いながら移動しているのだ。素早い移動なのと草むらの深みなのでその正体がよく判らないのだ。もしかしたら飛来してきたアトリかもしれないと思い、三脚を据えて草むらの上に姿を現すのを待つも願いは叶わずだった。

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見渡す限りの野面で見かけたのはケリ、ドバト、カラスのみだったので鳥撮りを諦め、日頃の運動不足の解消にと田圃道を歩くことにした。

農家の庭先で木守柿を見付ける。今秋の収穫を感謝し来年の豊作を祈って残された柿の実だ。近づいてよく見ると半ば鳥に啄まれていた。

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ファインダーを覗き込みながら友人M(故人)のことを思い出していた。彼からは四季折々に俳句を添えた絵手紙を貰っていた。その一つに木守柿の俳画と句があったことを思い出す。正確には思い出せないが「遠来の友送る道や木守り柿」だっただろうか。

柿の木にぽつんと残された柿の実一個、鳥に啄まれ時雨に打たれ、寒風に揺さぶられる、最後はどんな姿になっているのだろうか。